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2021年7月の記事一覧

ちょっと一息(お勧めの1冊)

ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『遠野物語』 作者:柳田國男

●本日は、「日本民俗学」という新しい学問をつくった柳田國男さんの『遠野物語』を紹介します。●柳田さんは、幼いときから優れた記憶力を持ち、学校の成績も非常に優秀だったようです。●柳田さんの「日本民俗学」の原点は、自らが幼少期に体験した飢饉体験や故郷を離れて見聞きした庶民の暮らしや間引き慣習悲惨さだったようです。●生活の中で生き続ける行事や昔話、伝承などを記録することの重要性に誰よりも早く気付き、それを後世に記録として残すという使命感をもって研究を進めた人物です。●『遠野物語』は、ザシキワラシカッパ神隠し姥捨てなど、柳田さんの故郷である岩手県遠野に伝わる伝承を記録したものです。神への畏怖と感謝、祖霊への思いなど日本人の死生観や自然観が凝縮された作品です。●作品には、田植えを手伝う神の話もあれば、子殺しの話など怖い話もあります。日本人の暮らしを、負の部分も含めて記録しているのが遠野物語の特徴です。それでは、いくつかのネタばらしを…。
●「ザシキワラシ」は、ザシキワラシが家を出たため、一家が毒キノコを食べて亡くなってしまう話です。ただ神から特殊な能力を授けられていた少女だけはひとり生き残ります遠野の人々が神々とつながっていたことが語られた記録です。●「大津波」では、生きのこった男が亡くなったはずの妻に出会ったり、「戦地にいる兄」では、側にいるはずのない兄が現れたりという出来事が語られています。昔の遠野では、生と死の境界は曖昧で、行ったり来たり出来るものだったようです。このような臨死体験の話などには、そうした死生観が凝縮されています。●「オオカミと人間との戦い」は、オオカミの子を殺したため、怒った母オオカミが村の馬を殺すようになったという話です。自然界には、人間が立ち入ることのできない自然界ならではの掟があるのです。「自然への畏敬の念」そして「自然との共生」を図る人々の姿が描かれています。
●柳田國男さんの『遠野物語』には、「河童」、「オシラサマ」、「山男」、「マヨイガ」、「雪女」、「神隠し」など、怪異談が全部で119話が収められています。●身近な山や自然の霊的な存在家の中に住む神様自然の中に暮らす動物たちを主人公とした、古くから言い伝えられた多数の物語です。●自然への崇拝を忘れることなく、自然と上手に折り合いをつけながら暮らす遠野の人々の情感あふれた記録です。●私がこの作品を読んだのは、大学生の時です。ゼミの教授から薦められました。「恐れ(畏怖)」という感動を覚えたことを鮮明に記憶しています。●大学生であった30数年前、自ら運転する自家用車で遠野を訪れ、『遠野物語』の世界を自ら辿ったことも忘れることができません。●作品は文語体ですが、短編の話ですので、興味のある方は手に取ってみてはいかがですか。

内村鑑三さんの言葉

内村鑑三さんの言葉

内村鑑三さんは、日本のキリスト教思想家、文学者です。明治初期に活躍し、キリスト教徒でありながら無教会主義を唱え、日本の近代思想にも大きな影響を与えました。本日は、そんな内村鑑三さんの名言を紹介します。

1 一日は貴い一生である。これを空費してはならない。

2 喜びの声を発すれば喜びの人となり悲しみの声を発すれば悲しみの人となる。

3 他の人の行くことを嫌う所へ行け他の人のいやがる事を為せ

4 誠実から得た信用は最大の財産となる。

5 学は貴し。されども精神の貴きに如かず

6 後世へ遺すべき物はお金、事業、思想もあるが誰にでもできる最大遺物とは勇ましく高尚なる生涯である。

内村鑑三さんは、誰もやりたがらないような、辛く、苦しく、きついことを率先して行うことが大切だと述べています。また誠実な生き方清らかな精神を尊ぶ、慈愛ある生き方を求めています。欲望の塊のような私には、耳が痛くなるような言葉ばかりです。子供たちの成長を願い、一日一日を大切にして、喜びの声を発し続けることにより、高尚な生涯は無理としても、「誠実」に、そして「謙虚」の言葉を忘れずに生きたいと感じたところです。

立花隆さんの言葉

立花隆さんの言葉

先週末の「NHKクローズアップ現代」で、今年4月に80歳で亡くなられた、立花隆さんのことを取り上げていました。立花隆さんは、3万冊もの本を読み、綿密な取材を基に100冊以上の本を執筆するなど、「知の巨人」と称された人です。理系・文系という垣根を越え、縦横無尽に活動してきた立花さんは、次世代の若者たちに向けた「どう生きるか」という問いかけを数多く残しています。本日はそのいくつかを紹介いたします。

生き方の10箇条
1 ナイーブさと賢さを同時に持て
2 ニッチを発見せよ         
3 自分の欲求と能力を知るべし
4 価値体系が「自分」を作る
5 世俗的な成功を求めるな
6 生き方の美学を作れ
7 バックグラウンドを踏まえてものを見よ
8 人生の残り時間を意識せよ
9 走って走って走り続けろ
10 失敗は必ず起こる。それを隠さず、それに負けない強さを持て
α 人から見られているという意識を持て
β 他人を恐れるな
γ フロンティアへ飛び出せ

立花さんの若者へ発せられたメッセージはいかがだったでしょうか。一言で言い換えると、「謙虚な姿勢」、「自分の存在価値」、「自己の夢と能力」、「自ら歩む人生そのもが「自分」」、「大志」、「生き方の美学」、「多面的・多角的」、「限りある時間」、「継続」、「真摯さと粘り強さ」というところでしょうか。また「」と「信念」と「開拓精神」が付け加えられています。もちろん「知の巨人」の思いは、こんな簡単な一言では言い表すことのできません。興味のある方は、是非、立花隆さんの著書に触れてみてはいかがでしょうか。

ちょっと一息(お勧めの1冊)

ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『団栗』 作者:寺田寅彦 
●本日は、明治38年「ホトトギス」に掲載された、寺田寅彦さん随筆「団栗(どんぐり)」を紹介します。●寺田寅彦さんは、日本を代表する物理学者のひとりですが、随筆を著す才にも長けていると評価された人物です。●また夏目漱石の門下生で、漱石の『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルとしても有名です。●『団栗』に綴られた文章は平明で分かりやすく、妻や子、そして下女(美代)へ注ぐ愛情が随所に表れています。●作品のあらましは、嬉しそうにどんぐりを拾っている忘れ形見の娘の姿から、結核を患い若くして亡くなった妻「夏子」とのやりとり、そのしぐさに思いを馳せるという作品です。●4ページほどの短い随筆で、事実を事実として、客観的にそして淡々と語った作品ですが、それがかえって、内容と伴って一層の切なさを醸し出しています。●「どんぐりを拾って喜んだ妻も今はない。お墓の土には苔の花がなんべんか咲いた」。●なんと感傷的で流麗な表現ではないでしょうか。妻が亡くなってから幾年か立っている情景がさりげなく語られています。「苔」ではなく「苔の花」と表したところにも、季節の移り変わりが味わい深く表現されています。●「~始めと終わりの悲惨であった母の運命だけは、此児に繰り返させ度くないものだと、しみじみさう思ったのである」●明治時代に書かれた作品ですが、亡き妻を想う深い悲しみと、子供の人生を案じる親の気持ちは、現代でも変わりません。その色褪せしない切なさと慈愛の思いが思いっきり詰まった名随筆です。●なお、私は高1の時、「寺田寅彦随筆集(1巻)」でこの作品を読みました。●知命の年を越え、親となっての再読で、あの時よりも寺田寅彦さんの思いに少し近づけたかなと思っています。●また「寺田寅彦随筆集(1巻)」には、電車の混雑の考察、金平糖の考察、線香花火の考察などが書かれており、高校生の私に、何気ない日常であっても、科学的な視点で不思議に気付く、新しい発見をすることの大切さを示唆してくれた1冊でもありました。●『団栗』はお薦めの随筆です。もちろん、「寺田寅彦随筆集」も手に取ってみてはいかがですか。

安室奈美恵さんの言葉

●安室奈美恵さんの言葉

●本日は、安室奈美恵さんの言葉を紹介します。●私が安室さんに関心を抱いたのは、はもちろんファッションをも含めた彼女のカリスマ性、そして最後までトップアーティストのまま走りぬいた彼女の生き方、そんな生き様を生み出した理由を探りたいと考えたからです。●人は誰しも、何かしらの苦労をし、また努力をしながら一生懸命に生きているはずです。●そしてやはり私たちと同様、偉人と呼ばれる人を含め、世の中に名を残した人々にも、その努力の源となる人生哲学が必ずあり、それは私たちに何らかの指針を与えてくれるものだと考えているからです。●渋沢栄一さんの「夢七訓」に示されているように、夢を持っている人には、理想や信念があり、その信念に従い地味に努力を続け、そして名を残すのです。●「安室奈美恵」という人間の生き様が知りたくなったのです。●安室奈美恵さんは、小室哲哉さんプロデュースでミリオンセラーを連発するなど、1990年代の音楽界を牽引した歌手であるとともに、厚底ブーツ、細い眉毛、ミニスカートなど、安室さんを真似する通称「アムラー」が社会現象になりました。●それでは当時の女性たちのカリスマ的存在であった安室奈美恵さんの言葉を紹介します。

1 誰にでも可能性はある、私も最初はゼロだった

2 何をやってもダメなんだと言う人はきっと、色んな理由をつけて、まだ必死にはやってないだけかもしれない

3 簡単にダメだと折れるのか、それとも どうにかしてやろうじゃんと立ち上がるのか。私は後者の方が楽だと思う。

4 私の場合、自分の中で不安だったりスランプだと思う時は、とにかくそれをやり続けるんです。そこで何かを見出さないと毎回同じ壁にぶつかっちゃうから。

5 1%の才能と99%の継続、努力し続けることで今の自分がある。

6 いいものはいいって、ちゃんと言える人でありたいです。悔しいから言わないのではなく、かっこよかったものは良かったと。

7 迷った時は結局、ファーストインプレッションに従うんです。これも経験を積んできたうえで生まれた私のBasic

8 直感できめちゃうことがあるし、一貫性はないんです。でも絶対にこれ! っていう確信はある。

●いかがでしょうか。安室奈美恵さんの言葉に刺激されませんか。一見、順風満帆に過ごしていたように感じる芸能生活の裏側では、いかに苦しみ、もがき、悩みながら、日々努力を続けていたか、そのことが覗える言葉です。そんな彼女の生き様が「安室奈美恵」という一人の人間の名誉と地位を確立させたのではないでしょうか。人並み外れた努力をした者にしか感じることのできない、「迷った時は結局、ファーストインプレッションに従うんです。これも経験を積んできたうえで生まれた私のBasic」や「直感できめちゃうことがあるし、一貫性はないんです。でも絶対にこれ! っていう確信はある。」という言葉が、私はとても好きです。

ちょっと一息(お勧めの1冊)

ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『文学部唯野教授』 作者:筒井康隆

●本日「私の薦める1冊」は、筒井康隆さんが著した『文学部唯野教授』です。●唯野教授が、大学の教師陣の生活を覗き見ながら、大学内外で起きるあれこれを饒舌に語るとともに、各章の後半分で、唯野教授の「文芸批評論」の講義が展開されるという話です。●教授の給料や研究費の使い道、学内政治なども唯野教授お得意の皮肉で、普段覗くことの出来ない大学の裏側を見ることもできます。●蟻巣川主任教授のケチエピソードに教授会の裏事情、留学期間をごまかす牧口、蟇目の狂乱、赤いスーツの美人ちゃん(唯野教授がそう呼んでいました)榎本奈美子との関係は?、唯野教授の匿名作家としての活動は?●唯野教授の「文芸批評論」の講義は、唯野教授の教養溢れる饒舌に酔いしれながら、多くの文学理論がわかりやすく紹介されています。文学をいかに理論立てて分析するか、その方法が順序よく語られています。●「文学論」に素人の方でも優しい言葉で、ユーモアたっぷりに紹介されていますので、文学について容易に理解を深めることができるはずです。●文学には全く興味・関心がないという方は、適当に読み飛ばしても…。●この本を読みながら、思わず吹き出したり、にやけてしまったりすること請け合いです。●唯野教授の「文芸批評論」の講義は、高校生、大学生の皆さんに是非呼んで欲しい内容です。「文学論」の初歩を知るとともに、しっかり勉強をしようと、思わせてくるはずですから。●筒井康隆さんの『文学部唯野教授』を手に取ってみる、あるいは高校生や大学生のお子様にお薦めしてはいかがでしょうか。

武田信玄の言葉

武田信玄の言葉

本日は、「疾(と)きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し。」で有名な、武田信玄の言葉を紹介します。武田信玄は、天下一の軍団として怖れられた武田軍を率い、家康からは武神と評価されるほどの戦に長けた戦国武将です。信玄は、幼小の頃より学問に励み、「自分の長所を伸ばすための心構え」や「人としての生き方」について述べています。そんな名言の中から、いくつかを紹介します。

1 人間にとって学問は、木の枝に繁る葉と同じだ。

2 一日ひとつずつの教訓を聞いていったとしても、ひと月で三十か条になるのだ。これを一年にすれば、三百六十か条ものことを知ることになるのではないか。

3 為せば成る為さねば成らぬ成る業(わざ)を成らぬと捨つる人のはかなき

4 負けまじき軍に負け、亡ぶまじき家の亡ぶるを、人みな天命と言う。それがしに於いては天命とは思はず、みな仕様の悪しきが故と思うなり。

5 自分のしたいことより、嫌なことを先にせよ。この心構えさえあれば、道の途中で挫折したり、身を滅ぼしたりするようなことはないはずだ。

6 信頼してこそ人は尽くしてくれるものだ。

7 いくら厳しい規則を作って、家臣に強制しても、大将がわがままな振る舞いをしていたのでは、規則などあってなきがごとしである。人に規則を守らせるには、まず自身の言動を反省し、非があれば直ちに改める姿勢を強く持たねばならない。

8 人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり。

9 武将が陥りやすい三大失観。
  一、分別あるものを悪人と見ること
  一、遠慮あるものを臆病と見ること
  一、軽躁なるものを勇剛と見ること

武田信玄の「学問の大切さ」、「苦境にめげず、最後まで最善を尽くすことの重要性」、「人としての生き様」についての言葉は、他の偉人が述べている名言(格言)に通じます。やはり偉人と呼ばれる人々の考え方、生き方は、その人生や仕事に対しての哲学的な言葉として吐露されているからでしょうか。これらの言葉は、自分の現状を振り返るための指針となるものだと感じています。