2021年12月の記事一覧
守破離(しゅはり)
◆守破離(しゅはり)
●本日は、武道や芸能など世界で良く使われる「守破離」という言葉を紹介します。●「守破離」の【守】は、武道等における最初の段階の心構えです。指導者(師)からの話や助言対しては真摯な態度で耳を傾け、そして指導者の行動を見習ってそれを真似し、指導者の価値観を自分のものにしていくことです。すべてを習得できたと感じるまでは、指導者の指導の通りの行動することを意味しています。●「守破離」の【破】は、師と仰ぐ指導のすべてを習得できたと感じた後の次の段階で、指導者から学んだことから一歩踏み出して、自ら積極的にその助言や指導を破る行為のことです。師の教えという殻を破り、自分独自に工夫して、指導者の話になかった方法などを試してみる行為を意味しています。●「守破離」の【離】は、武道等における最終の段階の行為です。師(指導者)からの教えを基本としつつも、そのもとから自ら離れる決意とたゆまぬ努力により、自分自身で学んだ内容をさらに発展させることです。●つまり、先ずは憧れ(尊敬)の人の一挙手一投足を真似して、次に自分の独創性をそこに織り混ぜてみる、そして最後に自分独自の新しいものをつくっていくということになります●これは、別に武道や芸能の世界だけの話ではなく、どんな世界でも通用し、応用できる考え方だと感じています。
●私はかつて、明治大学の野球部で活躍したある知人から、次のような話をされたことがあります。●「俺は、バッターボックスに入るときには、篠塚(巨人軍で活躍した篠塚利夫選手)の真似をするんだ、ベンチからネクストバッターサークル、そしてバッターボックスまで、篠塚の動きをすべて真似をする。歩数も同じ、第一歩は左足からだ。素振りの回数も、その仕草も同じだ。」●彼が明治野球部の中心選手として活躍できた原動力が、実はここにあったのだと、「守破離」という言葉を思い描きながら感じたことを記憶しています。●またその当時、若者を中心に一世風靡したミュージシャン布袋寅泰(元BOΦWY)さんは、「好きな人の音楽をいろいろ取り入れて、自分の音楽を作っているわけだから、オレの音楽が一番好きなのはあたりまえだ」と語っていました。●まさに「守破離」を体現しきった人の言葉です。●声優としてルパン三世の声をやっていた栗田貫一さんも、最初はただの物真似でしたが、最後には本物となったと感じているのは、私だけではないと思います。●物真似も突き抜けると本物になりますから。
●私たちが何かを体得したい、あるいは夢や希望を叶えたいと考えたとき、この「守破離」という考え方も一つのヒントとなるのではないでしょうか。●女優になりたいと思ったら、とにかく憧れの女優の真似をする。それも徹底的にする。「守破離」の【守】です。●そして1年くらい真似をし続けると、だんだんとその意味、内容が理解できてくる。他の気になる女優の仕草にも目を向けてみる。そこで新たな情報を取り入れながら自分の独創性を織り交ぜてみる。「守破離」の【破】です。●そして最後に自分の独自性を前面に出していく。「守破離」の【離】です。
●「武道の稽古は礼に始まり礼に終わる」と礼の精神が強調されているように、「武道」には、その技や動作の奥に礼や和の精神があります。この「武道の精神」を踏まえつつ、「守破離」という考え方を日常生活にも生かす、応用してみてはいかがでしょうか。