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2022年4月の記事一覧

社会に貢献する自立した人間

◆社会に貢献する自立した人間◆
 本校の子供たちには、「1年後の自分像を描き、どんな人に成長していたいか、何が出来るようになっていたいか、具体的な目標を立てて、粘り強く努力をしてほしい。」また「自立した人、つまり自己実現力を身に付けるために、自分がやりたいことを自分で見つけ、自らどんどんやっていってほしい。」と繰り返し伝えているところですが、その根底には、「社会に貢献する自立した人間」へと成長してほしいという、強い願いがあります。それは、本校の校訓である「自立共生にもつながる考え方です。
 当たり前ですが、何かに挑戦することがなければ失敗をすることすらありません。先ずはチャレンジすること、その意思、そして意志を持つことが大切です。たとえ失敗し挫折感を味わったとしても、自分が目指し頑張ってきた結果なら、その体験はその後必ず生きると考えるからです。そしてその体験を経験へと昇華させ、自分の人生に生かしていくべきなのです。
 社会に貢献し、自立した存在になるためには、自分の考えを持ち正しく表現すること多様な知識を習得しそれらを活用して教養を深めることが肝要です。子供たちにはうまくやるより、試行錯誤を重ねながら得られた結果を受け止めて改善策を探っていける人となってほしいと願っています。
 創生祭体育祭などの行事は、学年を超えて生徒が企画・運営する一大イベント。予期しない変化に対応する柔軟性を身に付けるとともに、他の人の意見を理解して協働できるようにもなる格好の機会です。
 昨年度の子供たちの様子を見ていると、コロナ禍における新しい様式での学校教育活動が求められ、様々な制約や制限が余儀なくされる中、実施できそうな種目やルール、内容を教師の支援を受けながらも生徒自らが考え、実践していました。また体育祭の花形種目であり、本校の伝統となりつつある「南中ソーラン」においても、その練習の時間、内容を生徒自ら(生徒会役員や3年生が中心となり)が発案し、全校性が一体となって実践している姿に感動を覚えました。ひとつのものを成し遂げようと、子供たち知恵を絞っている姿を見ているとリーダーは育てるものではなく、自然と生まれるのが正しいんだなと感じます。(教師はその環境を整えること、必要に応じて「意図的なしかけ」と必要最小限の支援、言い換えれば「導き」は必要なのですが)。得意なことがそれぞれ違う者同士が集まっているから、先頭に立つ人、それを支える人が場面によってコロコロ変わる。人と交わるなかで、どんどん失敗したっていい。これこそが学校教育の醍醐味です。そう意味で、「目指す生徒像」に「自立」というキーワードを掲げ取り組んできた、昨年度の教育活動は一歩前進したと考えています。
 本年度はさらに前進できるよう、新たな「しかけ」を試みますそれは、「全校縄跳び大会」や「全校リレー大会」、「全校写生大会」(これは参考例で、実施する種目は子供たちに考えてもらいます。斬新なアイディアが挙がることを期待しているところです。)など、子供たちが企画、運営するイベントを教育活動に位置づけ、実施していこうと考えています。そのことで、うまくいって感動し、自信へつなげ、時に失敗し、挫折感を味わいながらもその体験(経験)を次に生かす、また友達と意見が対立し、腹が立ったり、納得がいかなかったりしながら、落としどころを見つけていくなど、調整力を養っていく。その過程で子供たちが自己の得意分野を生かし、協力し合って、新たな自己を発見していく。そんな活力ある学校を目指しています。
 子供たちが卒業するときに「この学校でよかった」と思えるようにするためには、本校に集う子供たち自身の力が大切です。それをしっかり支える教職員、そして保護者や地域の皆様の協力が必要なのです。目の前の小さな目標達成に向けて努力を積み重ねていく先(未来)には、結果として、志望校への合格があり、最終的に求める「社会に貢献する自立した人間」への道があるのですから

ちょっと一息(お勧めの1冊)

◆吉本 ばなな『TUGUMI(つぐみ)』◆

●本日紹介するのは、吉本ばななさんが著した『TUGUMI(つぐみ)』です。●『キッチン』に続く第2作目で、山本周五郎賞を受賞しています。●作品は、12の連作短編集となっていますが、どこから読んでも楽しめる1冊ともなっています。●主人公は著書のタイトルともなっている「つぐみ」。●その「つぐみ」は病弱で長くは生きられないと宣告されています。●その「つぐみ」の姿を従姉妹の「まりあ」の視点で描いたエッセイ的要素を含ませた作品です。●実は「まりあ」にも、ちょっと訳ありの複雑な家庭事情があるのですが、その悲しさも辛さも垣間見せていません。●この作品の魅力には、このような構成の妙によるところも大きいのです。●「まりあ」は「つぐみ」が表出した言葉を語ります。行動を語ります彼女が目にした「つぐみ」の姿として物語が展開するのです。●また「まりあ」は「つぐみ」の心を、考えを、そしてその思いも語るのですが、それはあくまで「まりあ」を通した「つぐみ」の虚像です。●だから、時としてその「つぐみ」像は見事に裏切られます。●またそれは同時に、私たち読者が「つぐみ」に裏切られ、驚かされることにもなるのです。●では、吉本ばななさんの『TUGUMI(つぐみ)』を少しだけ紹介します。
●「つぐみ」の実家である旅館に「まりあ」が身を寄せます。ある一夏のことです。●「つぐみ」は容姿端麗ですが病弱で、小さい頃から甘やかされて育ちます。●「つぐみ」は「食うものが本当になくなった時、あたしは平気でポチを殺して食えるような奴になりたい。」と語る、ちょっと言葉が悪く、粗野で傍若無人な女の子です。●でも、強烈すぎる強さは、儚くて危ういものです
●我儘で自由奔放で癇癪もちの「つぐみ」の物語。●弱い身体に余る程の強い気性で家族にも誤解されている「つぐみ」の物語。●「つぐみ」、「まりあ」、「陽子」、「恭一」4の人が織りなす、一夏の青春物語。●夏の海辺の街が、そしてそこを歩く4人の姿が、その情景が脳裏に浮かぶ物語。●「つぐみ」と「恭一」の淡く、儚い恋の物語。●「恭一」の飼っていた「権五郎」という犬の連れ去られ事件。●その事件を発端とした、「つぐみ」の復讐劇。●そしてのその復讐劇の頓挫「つぐみ」の生と死。●病弱な少女から少しだけ大人へと成長していく切なく透明な物語。●「つぐみ」の純粋さと捻くれた優しさに気づく「まりあ」の物語
●「つぐみ」は、どこまでも真っ直ぐで、それでいて儚く消えてしまいそうな女の子です。●まるで「生の時間」とは別の場所にいるようで、なんとも不思議な雰囲気をもつ「つぐみ」に、機会がありましたら触れてみてはいかがでしょうか。

八代亜紀さんの言葉

◆歌手の八代亜紀さん◆

●本日は、歌手の八代亜紀さんのインタビュー記事から「ありがとう」の言葉について、八代亜紀さんの言葉や内容のさわりを紹介いたします。
●昨年、歌手デビュー50周年を迎えた八代亜紀さんは、1971年に歌手デビューし、「なみだ恋」の大ヒットを皮切りに、1980年「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞するなど、数多くのヒット曲を世に出しています。また絵を描く才にも長けておりフランスの「ル・サロン」で5年連続入選を果たし永久会員ともなっています。
●八代亜紀さんは「ありがとう」と言う言葉は、本当に良い言葉で、この言葉に元気をもらって、50年間をやってきました。「ありがとう」と聞くと、言った方も言われた方も元気になるし、「よし、またがんばろう」という気持ちになるので、たくさんの「ありがとう」を言葉にするようにしているんですと語っています。●下積み生活の2年間は、日々思いトランクを引きずり手にマメを作りながら、知らない街から知らない街へと移動しては、歌を歌い、そしてレコードを1枚、1枚、手売りしていたそうです。●ある時、次の街へ移動するため、がらがらの始発電車に乗って、トランクを前に抱え、両脇に大きなバックを2つ置いて座りましたが、疲れのためか、泥のように眠ってしまったそうです。●目が覚めたときには朝の通勤ラッシュの時間帯で、電車は超満員の寿司酢目状態。そんな中、八代さんは何人分もの席を占領してしまっていたのです。●しかし、誰からも「どけ」などと、きつい言葉を浴びせられることはありませんでした。●それから数年後、「あの時、トランクを抱えて寝ていたのは、八代さんではなかったですか?疲れているのだから寝かせてあげようと、みんなで言い合っていたんですよ。」と言う、手紙をいただいたそうです。●心がほっこりと温まる逸話です。●八代さんは、下積み生活のような苦しい日々の中であっても、良いことがひとつくらいはあるものです。十のうち九つ嫌なことがあっても、ひとつ良いことがあれば、そちらに「ありがとう」と言いたいと述べています。●また、「なみだ恋」の大ヒットでスターへの階段を上り始めた八代さんは、「百万枚のヒットなんて、親戚がどれだけ買っても無理。見ず知らずの方、一人一人が買ってくださったのだから、感謝するんだよ。」と言う父親の言葉は、本当にその通りだと感じたそうです。●ホームレスの方に毎日、ご飯とお風呂を用意した両親。ご近所さんにお裾分けをよくしていた両親。そういう両親の姿から、物事の良い面に目を向ける、感謝しようという思いが強くなったとも八代さんは語っています。
●八代亜紀さんのインタビュー記事の内容から、「ありがとう」と言う言葉を素直に、そして心から発することのできる人とは、苦楽ある人生を前向きに捉えることができる人であり、物事の本質(深層)に目を向け、「感謝」の心を持つことができる人なのだと、改めて感じたところです。

令和4年度のスタートに当たって

◆令和4年度のスタートに当たって◆

 本校は「自立共生」を校訓とし、多くの皆様のご支援、ご協力により、本校ならではの良き雰囲気校風ができています。改めて、保護者の皆様、地域の皆様、そして関係諸機関の皆様に感謝申し上げます。

 本年度の本校における「目指す生徒像」「自分でやりたいことを自分で見つけ、自らどんどんやっていく自己実現力を備えた生徒」です。
 始業式、入学式で生徒には、この1年間で、自分ができるようになりたいこと、成果として残したいことなどを考え、1年後の成長した自分の姿である「自分像」をしっかりと思い描いてほしいと伝えました。
 生徒一人一人が改めて自己見つめ直し、自分にとってふさわしい「自分像」を思い描いてほしいと強く願っています。そのことは、自分がやりたいことを、自分で見つけ、自らどんどんやっていくと言う、自分の人生を自らの力で切り開くことのできる「自己実現力」を備えた生き方の礎となるとともに、様々な場面で、的確に考え、判断することのできる「主体性」のある生き方、「自立した人」へと、つながっていくはずです。
 そして生徒たちには、1年後の「自分像」が描けたら、それを実現させるために、少し頑張ればできそうな小さな目標、それもより具体的な目標(いつ、どこで、何を、どれくらい)を設定することで、「自分像」を達成させるため計画を自ら立てる必要があることも伝えています。
 具体的な目標を持つことは、少しくらい大変でも、もしサボりたいと思う気持ちがわき上がっても、やらなければならないことがはっきりしているので頑張れるものですし、「自分が決めたこと」で、誰かに「やらされている」のではないので、自らどんどんやっていくエネルギーにもなるものです。
 より具体的な目標を立てることで、達成状況について、何ができて、何ができていないのか、さらに努力しなければならないことは何かを、その都度、その都度、適切に振り返りながら、努力を継続することを期待しています。時には失敗もあるかもしれません。でもあきらめず、目標に向かって努力を続けてほしいのです。
 令和4年度のスタートに当たり、「自分像」をしっかり思い描くことで、生徒一人一人が頑張りたいと思っていることを明確にして、具体的な目標を立て、うまくいかないことがあってもいいから、粘り強く、継続して取り組んでいく、そんな1年間となることを期待しています。
      

教職員には、「目指す生徒像」の実現に向けて、
 1「自律性自分像達成に向けての自主的な取組への支援とメタ認知への誘い)」
 2「有能性やればできる、自己能力の目覚めという新たな気付きへの導きと支援)」
 3「関連性努力の過程、成果の承認と第三者との関係性構築)」
の3つの言葉をキーワードとして「主体性」を醸成できるように声をかけています。
 そのためには、教師のいを明確にし、その思いを継続して信し、時に触れながら自らの取組、生徒の姿をり返り評価すること、そして適宜に助言と支、見守りを行うことで、生徒一人一人が自己の「自分像」を実現できるよう取り組んでいくことを確認しました。

                     那須烏山市立南那須中学校長 藤田 繁