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「礼儀(作法)」、そして「マナー」と「しきたり」

◆「礼儀(作法)」、そして「マナー」と「しきたり」
●時代とともに社会情勢は変化し、新たな「もの」が生み出され、求めるもの、大切だと感じるもの、つまり私たちの価値観は変わってきています。それも多様化してきています。●しかしながら、人と人との関係性や付き合いは、多少の変化はあっても、その根幹は今も昔も大きく変わってはいません。●過日、日本における「礼儀」について、「自分のできる範囲で、同じ空間にいる人同士が互いに心地よく過ごそう」という「心」であると紹介いたしました。●最近、「礼儀」と「マナー」と「しきたり」の違いについて書かれた本を読む機会がありましたので、本日は、その違いに簡単に触れながら新渡戸稲造さんの言葉を紹介しながら、礼儀における「心」に「マナー」という心遣いがどう関わっているのか、私が感じたことを紹介します。
●「礼儀」とは立ち振る舞いを含めた行動様式のことで、訓練によって身に付けるものだそうです。このことから「礼儀」には「作法」という言葉が当てはまります。●「しきたり」とは、季節感や節目を大事にする心「お正月」や「桃の節句」、「還暦の祝い」などの祝いをする行為)のことで、そういった年中行事は日々の暮らしを豊か(心)にするそうです。したがって「しきたり」には「彩り」という言葉が似合うのです。●「マナー」とは、互いが気持ちの良い空間を作るための行為で、相手を慮(おもんぱか)る気持ちと書かれていました。「マナー」には「利他の精神」という言葉がぴったりです。●もともと、「礼儀」と「マナー」と「しきたり」には、このような違いがあったようですが、日本のおける「礼儀(作法)」が、現在に通じる「心」、つまり「マナー」の意味合いを含めた「形」として変遷していった経緯については、過日、紹介したとおりです。●新渡戸稲造さんは、その著書『武士道』で、自分を大切にするように家族や友達、社会の仲間を大切に思う、思いやりの心として「礼儀の最高の姿は愛(マナー)である」という意味の言葉を述べています。●そして、そのことを「マナーは愛」という言葉で端的に表現、「真の礼儀とは、相手に対する思いやりの心、それが他に現れたもの」であるという趣旨のことを述べています。●過日、紹介した、小笠原流礼法・宗家の小笠原敬承斎さんのエピソード(葬式)にも通じます。
●改めて「礼儀(作法)」を考えたとき、先ず基本となることは、相手が嫌だと思うことを相手の気持ちになって考え、その「心(マナー)」を「形」にすること。●改まった儀式では、式の荘厳さ、厳粛さを現す「型」としての「心(マナー)」があること。●初対面の人の場合は、相手がどういう考えを持っているのかが分からないので、先人たちが今に伝えてきた「(礼儀)作法」に則ることで、相手が不愉快な思いをしないための「形」としての「心(マナー)」があること。●その「作法」を知ることは、TPO(時、場所、目的など)に応じた、自分の所作や言葉、服装などの規準を持つことになり、相手を気遣う余裕が生まれること
●「礼儀作法」という、先人たちが培ってきた生活の知恵、規準を身に付けることは、時代が変わっても人間同士がよくあるために大切なことだと改めて感じます。●なぜなら、「礼儀(作法)」とは、「自分のできる範囲で、同じ空間にいる人同士が互いに心地よく過ごそう」という「心」なのですから。