雑感
◆雑感(衣笠祥雄氏の講演から)
私は、7年前に、現在は故人となってしまいましたが、広島東洋カープ(プロ野球)で長きに渡り活躍し、「鉄人」とも称された衣笠祥雄氏の講演を拝聴する機会に恵まれした。
その内容は、野球人として過ごした人生の中から、衣笠氏自身が感得した「肺腑の言」であるとともに彼自身の矜持でもあると感じました。プロフェッショナルとして、「高い理想をもち続けなければならないこと」「年齢とともに変わる自分のセールスポイントを探し続けなければならないこと」「コンスタントに結果を残すために考え、工夫をし続けなければならないこと」そして、そのための基本として、「良い生活習慣・食生活を身に付けておかなければならないこと」
衣笠氏の言質は、私自信が日々の教育実践から実感しており、疑義を挟む余地もありません。しかしながら、自らの失敗、過ちを真摯に受け止め、またそれを赤裸々に語る衣笠氏の姿には、聴き手を魅了する不思議な力を感ぜずにはいられませんでした。それは、体躯に恵まれていない彼が、プロの野球選手として生き抜いた、それも一流の選手として評価されるまでに至った、その苦しみと努力、そして試行錯誤の過程が、正に彼の人生そのものであり、彼の心の奥底からの叫びの発露となっていると、私が感じたからです。
さて、我が身を振り返ってみますと、果たして、自分は自信を持って自己研鑽に努めてきたと言い切れるのだろうか、あるいは、自分の「無知の知」を知る謙虚な態度で過ごしてきたのだろうか、ということです。
足らざるを克服するための具体的な努力をし続けなければならないと、衣笠氏の言質を思い出す度に改めて心に言い聞かせているところです。
道を極めた人の言葉は本当に重いものです。衣笠氏の言葉は「肺腑の言」として吐露されていたからだろうと考えています。(校長室から)