ちょっと一息(お勧めの1冊)
ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『わしらは怪しい探険隊』 作者:椎名誠
●本日「私の薦める1冊」は、椎名誠さんが隊長の「東日本何でもケトばす会」(略称東ケト会)の面々が島に行って、野外でテントを張ってひたすら忍耐生活を送る『わしらは怪しい探険隊』です。●島ならではのトラブル話が面白いとともに、大人が本気で遊ぶことのシリアスさがよく表れています。●それでは、椎名誠さんの『わしらは怪しい探険隊』を紹介します。
●ガキ大将が成人したようなシーナこと椎名誠さんのもとに結成された東ケト会。●いい歳した大人が鍋釜とテントを持って、行き当たりばったりに神島、八丈島、粟島などの離島へ旅に出て、どんちゃん騒ぎの酒盛り大宴会をする。●自然と戯れるというより、自然にやられっぱなしで、あまりかっこよくはないけれども、男達が集まって馬鹿馬鹿しい事を楽しく、時にはうんざりしながらやっている光景がとてもおもしろい。その場に居るような気分になります。●時より挿入される椎名さんの独特な感性も興味をそそられます。例えば、蛇に呑まれる時は、頭から飲まれた方が良いか、足から飲まれた方が良いか、「蛇に呑まれる方法」の持論を展開する場面など。● 宅島では、巡査さんが何かを必死に言っていたのに、適当に聞き流したために朝起きたらテントが水没して、命の危険を感じたという話●神島の蚊の来襲、「蚊柱」と呼ばれる蚊の大群に遭遇した時の緊張感と開き直った時の大胆さ。都会と田舎の蚊の違いについて考察する場面もおもしろい。●神島を一周泳ぐ試みでは「離岸流」に出会い、沖へどんどん流されていくという、笑ってはいられない状況なのに、その必死さに何故かユーモラスさえ感じてしまいます。●椎名さんが、この本を著しているのだから、椎名さんは離岸流を回避し、無事だったのだという読み手の安心からでしょうか。● さらにこの本は、椎名さんの「食」へのこだわりがよく分かる、「食エッセイ」の一面を持ち合わせています。● 現代版「水曜どうでしょう」のようで、気ままな自由人に憧れる人には、特に心地よい作品となるのではないでしょうか。●「沢野ひとし」さんのイラストも良い味をだしています。●少し古い著作とはなりますが、機会があれば、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。きっと疲れたときのブレークタイムとして、心にオアシスを与えてくれるはずです。