ちょっと一息(お勧めの1冊)
●ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『神去(かむさり)なあなあ日常』 作者:三浦しをん
●本日は、「ちょっと一息(お薦めの1冊)」ということで、私が保護者の皆様にお薦めしたい「この1冊」を紹介させていただきます。●この本は、数年前に、偶然、南那須図書館で出会った1冊となります。●『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、『舟を編む』で本屋大賞を受賞。代表作に『風が強く吹いている』、『仏果を得ず』、『木暮荘物語』など多数。そんなストーリーテーラーの「三浦しをん」さんが手がけた1冊です。●では、書評風に『神去(かむさり)なあなあ日常』を紹介いたします。
●日本の原風景を生活の一部として過ごした、あるいは里山で育ち、それらを垣間見た、そんな方々にとって、郷愁とともに言葉で表そうとするとうまく表すことができない、あの寂として恐々とした感覚をお持ちではないでしょうか。正にこの1冊はその郷愁を追懐させてくれるとともに、あの感覚を優しくも流麗な言葉で表現してくれる1冊となっています。それは、日々の忙しさに自己喪失感を憂える暇さえ忘れかけているかも知れない皆様にとって、原始体験を想起させ、自己アイディンティティーを回復させてくれる清涼剤となるはずです。●もちろん、そんな原風景に触れたことのない都会育ちの皆様。特に日常の忙しさに埋没したあなたの精神にとって、お伽噺や昔話から心の奥へと浸み込んだ、そして幼少の夕暮れ時に襲ったことがあるだろう漠然とした寂寥と恐怖が溶け合ったあの感覚を呼び覚ます1冊となると確信しています。●「なあなあ」の言質に秘められた覚悟とともに日々を過ごす「神去村(かむさりむら」の人々。「ヨキ」に「三郎」、「清一」・・・。林業を生業とするこの村の個性豊かな人々と主人公「平野勇気」が巻き起こす様々な事件(?)。そんな騒動が軽快なタッチで綴られています。もちろん林業と対峙し一生を捧げようとする村人の矜恃、生き様にも魅了される1冊となっています。●機会がありましたら、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。