ちょっと一息(お勧めの1冊)
ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『そこに僕はいた』 著者名:辻仁成
●本日は、辻仁成さんが少年時代に出会った人々、友人との出来事を18編のエッセイにまとめた『そこに僕はいた』です。●「少年、辻仁成さん」の心の揺れ動き、そして内面的な成長の過程が描かれています。●作品を読みながら、思わずにやけたり、恥ずかしくなったりするような出来事を思い出すかも知れません。例えば、好きな女の子に嫌がることばかりしてしまったこと、好きな女の子のことばかり考えて過ごしたこと、またマドンナに憧れたことなど、異性への淡い思い出が皆さんにもありませんか。●思春期を迎えた男の子の心と体のアンバランスさ、心理状況についてもユーモアを交えた軽快なタッチで描かれています。●さらに高校時代の若者が抱く夢や不安についても、多くの高校生の気持ちを代弁しているかのようです。●私が本著で最も好きな章は、著書名ともなっている「そこに僕はいた」です。僕(辻仁成さん)が小学校3年生の頃に出会った、片足のあーちゃんとの関わりを書いた章です。僕を取り巻く心ない大人たちの言葉、あーちゃんとのエピーソード、そんな出来事を通しながら、僕の気持ちの変化や心の成長が巧みに表現されています。辻仁成さんの鋭い感性と優しさが伝わってきます。●本著は、皆さんにとって、小学生や中学生、高校生時代を懐かしむことのできる1冊となります。自分の少年時代を思い出し、郷愁に耽る時間をもつことは、多忙な毎日の清涼剤となることでしょう。