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校長室から

二尊院の言葉

◆二尊院の言葉◆

●本日は、京都の嵯峨にある「小倉山 二尊院」の言葉を紹介します。●この言葉は、私が35歳の時、当時勤務していた学校長より、良いことが書かれているからといただいた言葉です。

人生五訓
 あせるな/おこるな/いばるな/くさるな/おこたるな

心の糧七ヵ條
 一 此の世の中で一番楽しく立派なことは生涯貫く仕事をもつことである
 一 此の世の中で一番さみしいことは自分のする仕事がないことである
 一 此の世の中で一番尊いことは人の為に奉仕して決して恩に着せないことである
 一 此の世の中で一番みにくいことは他人の生活をうらやむことである
 一 此の世の中で一番みじめなことは教養のないことである
 一 此の世の中で一番恥であり悲しいことはうそをつくことである
 一 此の世の中で一番素晴らしいことは常に感謝の念を忘れずに報恩の道を歩むことである

幸福の道
 家内仲よく ゆずりあい  / 先祖に感謝 親を大切に
 空気に感謝 社会に報恩  / 身体を大事に 仕事に熱心
 人には親切 我が身は努力 / よく働いて 施しをする
 不平不満や 愚痴を言わず / 人を恨まず 羨まず
 口をひかえて 腹立てず  / 親切正直 成功のもと
 気(きはながく) / 心(こころはまるく)
 腹(はらたてず) / 口(くちつつしめば)
 命(いのちながかれ)

●耳の痛いお言葉ばかりです。●今でも時々、この言葉を思い出しては、自己の言動を反省をしているところです。

ちょっと一息(お勧めの作者)

ちょっと一息(お勧めの作者)

◆村上春樹さんの世界◆
●本日は、村上春樹さんの小説について、書評的手法を用いた紹介を試みようと思います。●村上春樹さんの作品は「現実の世界」と「過去の世界」、「こちら側の世界」と「あちら側の世界」といった対立軸をベースとし、そこに「呪い」や「暴力」といった「悪」をテーマに織り交ぜて、登場人物の苦悩、厭世、勇気、成長などを描いた内容となっていると考えています。●例えば、『羊をめぐる冒険』は、「父」から「羊」の継承(裏社会の権力者として世の中を牛耳る者)の呪いをかけられた鼠(主人公の親友)の話ですが、自殺することで悪の継承を拒否するとともに、「死の世界」から「現実の世界」に残存する「悪」を抹殺するという小説です。つまり父の呪いを自らの死をもって打破しようとした鼠の苦悩が描かれています。●また『ノルウェイの森』では、「過去の世界」に引き寄せられた直子が、「現実世界」で生きることよりも自らの死を選択するという内容です。直子が「過去の世界」を求め続けなければならない悲しみ、哀愁が主人公の目を通して静謐に語られています。果たして直子が自己の抱えた苦しみを解放し、自殺をせずに「現実世界」で生き続けるためには、何が必要だったのでしょうか。●その「問い」に対するひとつの回答が『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のテーマではなかったのかと考えます。●その答えは「あちら側の世界」に「自分の世界」をつくることです。そして「過去の思い出」を大切にしながら生きていくことさえできれば、「現実の世界」でも生きていけたのではないでしょうか。●直子はそれができなかったのです。●しかし『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の主人公はそうすることで、「あちら側の世界」から「現実の世界」へ戻ることができたのではないかと考えます。●それでも疑問が残ります。●「あちら側の世界」に「自分の世界」をつくった人間は、「現実の世界」において本当の自分なのか、ということです。外見上は確かに生きてはいますが、本当の意味で「現実世界」に生きる意味、存在価値があるのかということです。●村上春樹さんは、『海辺のカフカ』で、その答えを示しています。●『海辺のカフカ』は、「あちら側の世界」に身の半分を置いた父に「(お前はいつか)父を殺し、母と姉と交わる」という「血の呪い」をかけられた15歳の少年(カフカ)の成長物語です。●カフカが、悪を継承することもなく、父を現実に殺すこともなく、いかに呪いを打破して「現実世界」で生きていけるのかを描いているのです。●『海辺のカフカ』には佐伯さんという50歳を超えた美しい女性が登場します。●彼女は、半身が「あちら側」へ行ってしまった人間です。●佐伯さん自身は「あちら側」で「過去」とともに生きており、「現実世界」の彼女は虚無感に覆われた残像のようなものです。●またナカタさんという初老の記憶を失った人物も登場します。●ナカタさんは「あちら側」に連れて行かれたしまった人物です。●ですから「現実の世界」では「空っぽ」の人物として描かれています。●「過去の世界」に生き「現実世界」に背を向ける佐伯さんや「あちら側の世界」にすべてを持っていかれ「空っぽ」のナカタさんがそれぞれ最後にとった行動にこそ、心身ともに「現実世界」に戻る(戻す)ための「答え」が暗示されていると感じました。●それは「現実の世界」から「あちら側の世界」へ導く様々な要因である「悪」、その連鎖を断ち切るための「救い(救う)」が必要であると言うことです。
●戦争、暴力という「悪」をテーマに取り上げた『ねじまき鳥クロニクル』では井戸が、宗教をテーマにとした『IQ84』では高速道路の階段が、●無がテーマの『騎士団長殺し』では、祠が「あちら側の世界」へと導いています。●「あちら側の世界」に居るミュウと行ってしまったすみれを描いた『スプートニックの恋人』●『羊をめぐる冒険』の続編である『ダンス・ダンス・ダンス』などなど、機会がありましたら、村上春樹さんの小説が語るテーマの連続性に触れてみてはいかがでしょうか。

ちょっと一息(お勧めの1冊)

◆ちょっと一息(お勧めの1冊)◆
著書名:『ソフィーの世界』 作者名:ヨースタイン ゴルデル


●本日は、ヨースタイン・ゴルデルが著した『ソフィーの世界』を紹介します。●本書はファンタジーとして、ミステリーとしても読むこのできる物語形式をとった哲学入門書です。●難しい哲学の内容を易しく、それも哲学の歴史について非常に分かりやすく整理されているため、哲学について、俯瞰的にそして体系的に学ぶことができる一冊となっています。●手紙を通じて行われる対話形式の軽快なテンポに合わせ、主人公のソフィーと共に考え、感じて歩んでいく時間は心地良く、学びの多い体験となるはずです。●哲学の講義はどれも興味深い謎に満ちているとともに、「人間の存在」について考える上で、素晴らしい構成となっています。●特に、登場人物の関係性が明らかになる中盤以降は、物語にぐいぐい引き込まれ、先を読み急ぎたくなること請け合いです。●本書は1991年に出版され、全世界で2600万部以上を売り上げたベストセラー作品です。発売から30年が経過しても全く古くささを感じさせません。●哲学という古から続く学問がテーマであること、物語としての魅力があることが、その理由だと思います。●600ページを超える長編作品ですが、普段、あまり考えることのない疑問について考えることは、思考の幅を広げることにつながるはずです。●ぜひソフィーと共に生徒になって、哲学の問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。●では、簡単にあらすじを紹介します。
●ある日、ソフィー(14歳の少女)のもとへ一通の手紙が舞い込みます。消印も差出人の名もないその手紙にはたった一言『あなたはだれ?』と書かれています。思いがけない問いかけに、ソフィーは改めて自分をみつめ直すことになります。次の手紙には『世界はどこからきた?』と書かれた紙きれが入っています。ソフィーは今いる世界、そして自分自身が誰なのかという疑問について考えます。「わたしっていったいだれなんだろう?」今まで当たり前だと思っていたことが、ソフィーにはとても不思議なことのように思えてきたのです。それからも問いが書かれた手紙が届き続け、簡単な哲学の講義が始まります。どこの誰とも分からない相手からの手紙ですが、ソフィーはいつの間にか哲学の世界に足を踏み入れていくのです。●不思議なことは他にも起こります。ソフィーの元にヒルデという少女宛ての手紙が何度も届きますが、ソフィーはその少女を知りません。ヒルデとは一体誰なのでしょうか。どんな秘密が隠されているのでしょうか。●その謎が少しずつ明かされていくという展開構成となっています。
●『ソフィーの世界』は、手紙を通しのやり取りとなっているため、疑問を投げかけるとそれに対しての回答を得ることができます。●また、ソフィーは「問い」について真剣に考え、自分の答えを導き出したり手紙の差出人に疑問を投げかけたりします。●そして、そのソフィーが導き出した答えは、私たち読者が「哲学」について考えるためのヒントともなっています。●他の教科書や専門書を読むよりもずっと哲学を身近に感じることが出来る作品となっていますので、ソフィーと一緒に哲学について考えてみてはいかがでしょうか。

美しい日本語、正しい日本語

◆美しい日本語、正しい日本語◆

●まず、「美しい日本語、正しい日本語」を身に付けるためには、とにかく「語彙力」を身に付ける必要があると私は考えています。●自分の言いたいことをしっかり伝え、自分の思いを理解してもらうためには、チーズや小麦粉だけではおいしいピザが仕上がらないように、4番バッターだけでは強い野球チームができないように、吹奏楽の演奏で、管楽器だけでは素敵なハーモニーを奏でることができないように、少ない語彙では、自分の思いを相手に伝えることは難しいのです。●持っている語彙が多ければ多いほど、言葉は色彩豊かになり、人の心に届きます。人の心を打つことができるのです。●そして、語彙力を身に付けながら、その言葉を「適材適所」に使う力を養っていく必要もあります。せっかく身に付けた語彙を宝の持ち腐れとしてしまっては、残念だからです。●例えば、面白いと感じながら読んでいた物語でも、突然、違和感のある文章に出会い、興ざめしてしまったということはなでしょうか。また反対に、「雲が流れ、山がわたしに迫ってきた」や「車窓から風が殴り込んできた」という言葉に出会い、本当に風の動きが見えたり、風の強さを感じた経験はないでしょうか。●「ご覧ください」という意味を表す言葉には、「笑覧」「高覧」「清覧」などがありますが、私的なのか、仕事上のことなのか、文章にしたためるのか、話題の人物は誰か、伝える相手は誰かなど場面によって使い分けることができたら素敵ではないでしょうか。●例えば、「天皇陛下がご覧になった」より、天皇陛下に対してのみ使用する最高敬語を用いて「天皇陛下が天覧(叡覧)なさった」と表現した方が締まった表現となり、相手に与える印象も異なってくるはずです。●このように、言葉は適材適所に用いてこそ本来の力を発揮するのです。●さらに、大岡信さんの『言葉の力』でご紹介したように「美しい言葉、正しい言葉」とは、実は、表面的な美しさや正しさではなく、それを発した人の思い、気持ち、その基盤となる人間性が大切でもあるのです。●黒髪の描写において「つやつや」「はらはら」「ゆらゆら」という3種類の擬態語を使い分け、『源氏物語』に登場する女性たちの人格をも表現しきった紫式部のすごさを感じながら、ことわざ、慣用句、四字熟語、故事成語などを含めた、日本語という武器を一生のものとできるように、子供たちには日本語を勉強し続けて欲しいと願っています

ピンク・レディーの未唯mieさん

◆ピンク・レディーの未唯mieさん◆


●本日は、ピンク・レディーの未唯mieさんのインタビュー記事に触れる機会がありましたので、その内容のさわりを紹介いたします。
●ミー(現:未唯mie)さんは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、ケイ(現:増田恵子)さんとピンク・レディーを結成し、ダンス・ミュージック系アイドルとして活躍しました。●「ペッパー警部」でデビューした二人は、、「S・O・S」や「渚のシンドバッド、「ウォンテッド(指名手配)」など9曲連続オリコンチャート入りを果たすなどヒット曲を連発しました。●休み時間になる度に、「UFO」を歌いながら踊る子供たちが社会現象となるなど、その人気はすさまじく、当時小学校6年生であった私に、一世風靡をするとは、この二人のようなことなのだと、実感させてくれました。●私の同級生(女の子)も、ミー役とケイ役になって踊りながら歌っていたことが、今でも思い出されます。
●未唯mieさんは、引っ込み思案な自分を変えたいという思いから、中学校のクラブ活動は演劇クラブを選びます。●クラブ活動をとおして、自分の感情を表現できることに感動を覚えた未唯mieさんは、「人の前に立って自分自身を表現したい」と真剣に考えるようになります。●当時、「夢」について、歌手志望のケイ(現:増田恵子)さんと互いに語り合っていたそうです。●未唯mieさんは、中学校3年生の時、夢(役者になる)を叶えるためにオーディション番組に出場しますが、このことが後のピンク・レディー誕生へつながります。●残念ながら予選で不合格になりましたが、この時、未唯mieさんは、舞台袖で和田アキ子さんが後輩の森昌子さんを膝の上に乗せて頭をなでている姿を見かけます。●親から厳しくしつけられ、親に十分に甘えられなかったと述懐する未唯mieさんは、その姿にうらやましさを感じ、「歌手になれば、先輩からあんふうにかわいがってもらえるんだ」と思ったそうです。●この話を聞いたケイ(現:増田恵子)さんと「一緒に歌手を目指そう」と誓い合い、プロの歌手を目指すことになります。●そして二人は、「プロになるまで決して泣かない。泣いたらビンタする」と約束を交わします。●ピンクレディーとしてデビューするまでには、いくつもの試練があり、苦しい毎日だったそうです。●思うように歌うことができず、レッスンの途中で先生から「レッスンは終わり!」と告げられ、ケイ(現:増田恵子)さんが泣き出してしまったことがあります。●未唯mieさんは、「約束だからね」とケイ(現:増田恵子)さんの頬をたたき、二人で泣いたそうです。●それ以後、プロデビューするまで泣いたことはないと未唯mieさんは語ります。●このようしてピンク・レディーとしてデビューした二人ですが、とにかく多忙な日々を過ごしたことは、引退した後のドキュメンタリー番組で何度か放送されましたので、皆さんもご存じかも知れません。
●ピンク・レディーの誕生には、中学生で「人の前に立って自分自身を表現したい」という強い意志を持ち、一人は役者に、一人は歌手になると「夢」を抱いた二人の少女がいたからなのです。●そして何よりも、「夢」を叶えるための実行力に感動します。「夢」を叶えるための努力に感動します。●もちろん、それを支え合った未唯mieさんとケイ(現:増田恵子)さん、友人(親友)の存在も大きいのです。未唯mieさんは、ケイ(現:増田恵子)のことを「親友」のレベル超えて、最後には「戦友」となったとも語っています。