校長室から
ちょっと一息(お勧めの1冊)
●ちょっと一息(お勧めの1冊)
著書名:『神去(かむさり)なあなあ日常』 作者:三浦しをん
●本日は、「ちょっと一息(お薦めの1冊)」ということで、私が保護者の皆様にお薦めしたい「この1冊」を紹介させていただきます。●この本は、数年前に、偶然、南那須図書館で出会った1冊となります。●『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、『舟を編む』で本屋大賞を受賞。代表作に『風が強く吹いている』、『仏果を得ず』、『木暮荘物語』など多数。そんなストーリーテーラーの「三浦しをん」さんが手がけた1冊です。●では、書評風に『神去(かむさり)なあなあ日常』を紹介いたします。
●日本の原風景を生活の一部として過ごした、あるいは里山で育ち、それらを垣間見た、そんな方々にとって、郷愁とともに言葉で表そうとするとうまく表すことができない、あの寂として恐々とした感覚をお持ちではないでしょうか。正にこの1冊はその郷愁を追懐させてくれるとともに、あの感覚を優しくも流麗な言葉で表現してくれる1冊となっています。それは、日々の忙しさに自己喪失感を憂える暇さえ忘れかけているかも知れない皆様にとって、原始体験を想起させ、自己アイディンティティーを回復させてくれる清涼剤となるはずです。●もちろん、そんな原風景に触れたことのない都会育ちの皆様。特に日常の忙しさに埋没したあなたの精神にとって、お伽噺や昔話から心の奥へと浸み込んだ、そして幼少の夕暮れ時に襲ったことがあるだろう漠然とした寂寥と恐怖が溶け合ったあの感覚を呼び覚ます1冊となると確信しています。●「なあなあ」の言質に秘められた覚悟とともに日々を過ごす「神去村(かむさりむら」の人々。「ヨキ」に「三郎」、「清一」・・・。林業を生業とするこの村の個性豊かな人々と主人公「平野勇気」が巻き起こす様々な事件(?)。そんな騒動が軽快なタッチで綴られています。もちろん林業と対峙し一生を捧げようとする村人の矜恃、生き様にも魅了される1冊となっています。●機会がありましたら、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
子供は大人の鏡
◆子供は大人の鏡◆
会津藩士では、6歳から9歳までの男の子が、町ごとに「什(じゅう)」と呼ばれる十人前後のグループを作っていたそうです。この集まりは子供たちに会津武士の“心構え”を身につけさせるための、ある種の幼児教育の場であっとも言われています。
グループの家に集まった子供たちは、什長(じゅうちょう)と呼ばれるリーダーから、自らを律する「什の掟」について申し聞かされます。
「什の掟」
一 年長者の言ふことに背いてはなりませぬ
一 年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
一 卑怯な振舞をしてはなりませぬ
一 弱い者をいぢめてはなりませぬ
一 戸外で物を食べてはなりませぬ
一 戸外で婦人と言葉を交へてはなりませぬ
そして、什長は最後に「ならぬことはならぬものです」と厳格に戒め、「什の掟」に背いた子がいなかったかどうか尋ねます。違反した事実があれば、その違反した子に相応の「制裁」を加えました。
「什の掟」の内容については、当時の時代背景もあり考え方や価値観などが現代とは異なりますので、その内容の是非ついては様々なご意見もあろうかと思いますが、ここで私が注目したい点は、「什の掟」も、そしてそれを破った子への「制裁」も、6歳から9歳までの幼い子供たち自ら考え出し、実行したという事実です。ほんの6歳から9歳までの子どもたちが、大人の力を借りずに、このような自治的活動を行ったという、その自主性に驚かずにはいられません。
そして、私が注目したい二つ目の点は、この幼い子供たちがこのような仕組みを作り出すための原動力となった規範意識のことです。実は周囲の大人たちの常日頃の言動が子供たちの会津藩士としての規範意識を醸成したのです。大人の背中が立派に範を示していたからこそ、子どもたちは自然と、会津藩士の子弟としての誇りと自覚を豊かに育てていくことになったのです。
「子供は大人の鏡」と言われますが、この会津藩士の話から、私たち大人が子供たちに見せる姿について、一考する必要があると改めて感じました。
雑感
◆雑感(衣笠祥雄氏の講演から)
私は、7年前に、現在は故人となってしまいましたが、広島東洋カープ(プロ野球)で長きに渡り活躍し、「鉄人」とも称された衣笠祥雄氏の講演を拝聴する機会に恵まれした。
その内容は、野球人として過ごした人生の中から、衣笠氏自身が感得した「肺腑の言」であるとともに彼自身の矜持でもあると感じました。プロフェッショナルとして、「高い理想をもち続けなければならないこと」「年齢とともに変わる自分のセールスポイントを探し続けなければならないこと」「コンスタントに結果を残すために考え、工夫をし続けなければならないこと」そして、そのための基本として、「良い生活習慣・食生活を身に付けておかなければならないこと」
衣笠氏の言質は、私自信が日々の教育実践から実感しており、疑義を挟む余地もありません。しかしながら、自らの失敗、過ちを真摯に受け止め、またそれを赤裸々に語る衣笠氏の姿には、聴き手を魅了する不思議な力を感ぜずにはいられませんでした。それは、体躯に恵まれていない彼が、プロの野球選手として生き抜いた、それも一流の選手として評価されるまでに至った、その苦しみと努力、そして試行錯誤の過程が、正に彼の人生そのものであり、彼の心の奥底からの叫びの発露となっていると、私が感じたからです。
さて、我が身を振り返ってみますと、果たして、自分は自信を持って自己研鑽に努めてきたと言い切れるのだろうか、あるいは、自分の「無知の知」を知る謙虚な態度で過ごしてきたのだろうか、ということです。
足らざるを克服するための具体的な努力をし続けなければならないと、衣笠氏の言質を思い出す度に改めて心に言い聞かせているところです。
道を極めた人の言葉は本当に重いものです。衣笠氏の言葉は「肺腑の言」として吐露されていたからだろうと考えています。(校長室から)
学力向上を目指して
◆学力向上を目指して◆
本校では、子供たちが「確かな学力」を身に付けられるように、「分かる授業」づくりを目指しています。そのために次のような研究課題を設定しながら研究を進めています。
※本年度は、研究の3年次となります。
1 研究主題 「自ら考え、課題を解決できる生徒の育成」 -自力解決型の授業を目指して-
2 課題設定の理由
学校教育法には,学力の要素として「基礎的・基本的な知識及び技能」,「知識及び技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」,「主体的に学習に取り組む態度」の3要素が明示されている。従来の日本の学校教育は,知識及び技能においては一定の成果を上げてきたが,「OECDの学習到達度調査(PISA)」や文部科学省「全国学力・学習状況調査」などの結果から,子どもの「思考力・判断力・表現力」,「主体的な学習態度」に課題があることが浮き彫りとなった。また学習指導要領には,「生きる力」の一つである「自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力」の重視とともに,「主体的,対話的で深い学び」を視点とした授業改善が示されている。
本校では,「しなやかでたくましい心と体を持ち、未来に飛躍する自立した生徒の育成」を学校教育目標に掲げ、「主体的に学び続ける生徒〈知〉」「しなやかな心を持つ生徒〈徳〉」「ねばり強い体力のある生徒〈体〉」の育成を目指し,これまで基礎的・基本的な知識及び技能の確実な定着を図るとともに,それらを活用して思考力・判断力・表現力等を育成するための指導法について研究を進めてきた。その際、「思考力・判断力・表現力等を育てる6つの学習活動と学習形態」を授業展開の中に明確に位置づけ,問題解決学習の過程を重視することで充実した言語活動が実践できるように工夫してきた。その研究の過程で本校の生徒は,習得した知識及び技能を新たな課題に活用することを苦手としたり,自ら課題をとらえ,見通しをもち,主体的に課題を解決しようとする意欲に課題がみられたりすることが明らかとなった。
以上のことから,本校の学校教育目標の具現化に向け,また生徒のよさをさらに伸ばし,課題を改善していくため,「自ら考え,課題を解決できる生徒の育成」を研究主題とし,生徒自らが主体的(意欲)に,既習事項(体験活動等)を活用し,よりよく課題を解決することのできる資質・能力を育むための授業改善が必要であると考えた。そのために全ての教科において「自力解決型」の授業展開を構想し,教育的今日課題の解決に向けた取組を図ることにした。
3 研究の内容の概要
(1) 研究のねらい
全ての教科において,「主体的、対話的で深い学び」の充実のために習得・活用・探究のバランスを工夫し,知識の理解の質を高めるとともに学習の効果を高める授業を構想することで授業改善を図り,「自ら考え,課題を解決できる生徒」を育成する。
(2) 研究の内容
ア 研究主題の定義
「自ら考え,課題が解決できる生徒」とは,既習事項(体験活動や経験)の知識や技能(習得)を活用しながら,よりよく課題を解決する(活用)するとともに,それを総合的な学習の時間等における教科等を横断した問題解決的な学習や「探究」活動に生かす能力をもつ生徒のことであり,これらの能力を身につけた生徒は,課題解決に向けた見通しをもち,筋道の通った考え方ができる生徒のことである。また,他者との関わり合いを通し自分の考えを深め,広げられる生徒のことである。
「自力解決型の授業」とは,学習過程の基本形を「課題をつかむ場面」,「解決する場面」,「確認する場面」と設定し,生徒に課題解決の見通しと自分の考えをもたせ,意欲的な自力解決を促すとともに,他者との交流により考えを深め広げさせることをねらいとした授業のことである。
イ 自力解決型の授業構想
「自ら考え,課題が解決できる生徒」の育成を図るために,「自力解決型(習得・活用・探究)」の各学習過程において,生徒の思考・判断・表現等を活性化させたり深化させたり,主体的に学習に取り組む態度を養う手立てとして,授業を以下のように構想した。
(ア) 「課題をつかむ場面」:課題(ねらい)を的確にとらえさせ,課題解決への見通しをもたせる。(「何のために学ぶのか」という学習の意義を教師と生徒がともに共有する。)
a 課題解決への意欲を喚起するようなねらい及び課題提示や課題を把握させるための工夫を行う。
b 既習事項やこれまでの体験を振り返らせることで課題解決への見通しをもたせる。
c 生徒の気づきや生徒の実態を大切にした見通しのもたせ方を工夫する。
(イ) 「解決する場面」:小集団あるいは全体で,各教科等の「見方・考え方」を働かせながら,既習事項を活用させたり,自分の考えをもたせたりしながら課題を自力解決させる。
a 学習の基盤となる資質・能力(言語能力,情報活用能力、問題発見・解決能力等)を育成するための工夫を行う。
b 生徒の考えを引き出すための支援や自分の考えを分かりやすく表現させるための支援を工夫する。
c 互いの考えを交流させ,考えを深め,広げさせるため,話合いが深まるための視点を明確化するとともに,生徒の考えを「つなぐ」ための発問を工夫する。
(ウ) 「確認する場面」:学習内容を振り返させることで,「何を理解しているか,何ができるか」,「理解していること・できることをどう使うか」,「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか」について考えを整理させたり,深化させたりする。
a 本授業の学習内容を確認するための問題練習等を行う。
b 学習のねらいを踏まえた振り返りをノートに記述させたり、発言させたりする。
ウ 研究仮説
自力解決型の授業構想における各学習過程は密接に関連し合っている。それぞれの過程で「何ができるようになるのか」,「何を学ぶのか」,「どのように学ぶのか」,「何が身に付いたのか」,「どのように支援するのか」等の視点で効果的な手立てを講じ,また互いの考えを交流させ,考えを深め,広げさせるため、各教科の特質を踏まえた言語活動をどのように位置づけ,どのように言語活動を充実させるのかを明確にしながら授業を構想することで,各学習過程が有機的に関連し合い,研究主題の達成につながっていくと考える。
4 研究の計画(3年間)
一年次
○学ぶことに興味や関心をもち、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげられるようにするため、「課題をつかむ」場面について研究を進める。
・ねらいや目標の設定の工夫。
・ねらいや目標に合わせた課題設定の工夫。
・自力解決につながる見通しのもたせ方。
・生徒が自主的に学習に取り組むための工夫。
・振り返りの効果的な方法。
二年次
○「課題をつかむ」場面における見通しのもたせ方について、さらに研究を深める。
・どの生徒も見通しがもてるような支援のあり方。
・より良い課題解決に向けた視点をもたせる支援のあり方。
○子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深められるようにするため、「解決する」場面について研究を進める。
・深い学びにつながるための発問の工夫。
・学習形態の工夫。
・効果的な話し合い活動のあり方。
○「確認する」場面について研究を進める。
・生徒自身が自己の取り組みの状況を把握し、課題に気づき、改善策を講じられるような振り返りの工夫。
・「振り返り」から得られた情報より生徒の実態を把握し、授業改善に役立てること。
三年次
○習得・活用・探求という学びの過程の中で、各教科の特質に応じた「見方・考え方」を効果的に働かせるための研究を進める。
・学ぶ意欲の高まりについての検証。
・思考力・判断力・表現力の向上についての検証。
・各教科の特質に応じた「見方・考え方」を働かせるための手立ての工夫。
上記の内容を、全教科・全職員で行う。研究授業は年間○回実施(各教員、年間1回は実施できるように)し、授業改善に役立てる。授業の実際については、各教科部会、学年部会等で十分検討し、授業を構成する。
令和3年度のスタートにあたり
◆令和3年度のスタートにあたり◆
○学校教育目標
本校の学校教育目標は「しなやかでたくましい心と体を持ち、未来に飛躍する自立した生徒の育成」です。
・生徒一人一人に、未来社会を切り拓くために必要な確かな学力としなかやでたく ましい心と体が身に付くよう、保護者、地域、そして教職員が一体となって、自立と共生による成功体験「皆実践す」を実践できる、活力ある学校づくりの推進に努めています。
○3つの目標
「学校教育目標」を踏まえ、将来、子供たちが自分の力で判断し、周囲の人々と協力しながら元気に過ごすせることを願い、本校では3つの目標を設定しています。
1「主体的に学び続ける」
・よりよく生きていくための基礎力としての学力
2「しなやかな心を持つ」
・困難や挫折にくじけず、周りの人を大切にできる、しなやかな心
3「ねばり強い体力」
・体力の増進、規則正しい生活や食事、そして安全に気を付けた生活
○校訓「自立共生」
・「3つの目標」は、本校の校訓「自立共生」という言葉に集約されています。
・「自分でやりたいことを自分で見つけ、自分でどんどんやっていく」という、自己実現力を備えた生き方が「自立」です。主体性のある生き方と言っても良いかもしれません。また「互いが相手の個性を認め、尊重し合い、協調し合いながら物事に取り組んでいく、課題を解決していく」という生き方が「共生」です。
○具体的な目標
・「自立」し「共生」できるためには、夢や希望(目標)を持つことが大切です。
・なぜなら、人が頑張るためには目標が必要だからです。例えば、長距離走でもゴールという具体的な目標があるから苦しくても頑張れるし、部活動でも勝ちたいとか入賞したいという目標があるから辛い練習に頑張り続けられるのです。具体的な目標を持つことはとても大切なことです。
○「自分像」を描く
・具体的な夢や希望(目標)を持てるよう、子供たちには、1年後に「どんなことが出来るようになっていたいか」、「どんな自分に成長していたいか」、そんな「自分像」をしっかり思い描いて欲しいと伝えています。そして、その「自分像」を目指し、自分でやりたいことを、自分で見つけ、自分でどんどんやっていくことの大切さも伝えています。そのためには具体的な目標を持つことが大切であることも伝えています。