校長室から
令和4年度のスタートに当たって
◆令和4年度のスタートに当たって◆
本校は、「自立共生」を校訓とし、多くの皆様のご支援、ご協力により、本校ならではの良き雰囲気、校風ができています。改めて、保護者の皆様、地域の皆様、そして関係諸機関の皆様に感謝申し上げます。
本年度の本校における「目指す生徒像」は「自分でやりたいことを自分で見つけ、自らどんどんやっていく自己実現力を備えた生徒」です。
始業式、入学式で生徒には、この1年間で、自分ができるようになりたいこと、成果として残したいことなどを考え、1年後の成長した自分の姿である「自分像」をしっかりと思い描いてほしいと伝えました。
生徒一人一人が改めて自己見つめ直し、自分にとってふさわしい「自分像」を思い描いてほしいと強く願っています。そのことは、自分がやりたいことを、自分で見つけ、自らどんどんやっていくと言う、自分の人生を自らの力で切り開くことのできる「自己実現力」を備えた生き方の礎となるとともに、様々な場面で、的確に考え、判断することのできる「主体性」のある生き方、「自立した人」へと、つながっていくはずです。
そして生徒たちには、1年後の「自分像」が描けたら、それを実現させるために、少し頑張ればできそうな小さな目標、それもより具体的な目標(いつ、どこで、何を、どれくらい)を設定することで、「自分像」を達成させるため計画を自ら立てる必要があることも伝えています。
具体的な目標を持つことは、少しくらい大変でも、もしサボりたいと思う気持ちがわき上がっても、やらなければならないことがはっきりしているので頑張れるものですし、「自分が決めたこと」で、誰かに「やらされている」のではないので、自らどんどんやっていくエネルギーにもなるものです。
より具体的な目標を立てることで、達成状況について、何ができて、何ができていないのか、さらに努力しなければならないことは何かを、その都度、その都度、適切に振り返りながら、努力を継続することを期待しています。時には失敗もあるかもしれません。でもあきらめず、目標に向かって努力を続けてほしいのです。
令和4年度のスタートに当たり、「自分像」をしっかり思い描くことで、生徒一人一人が頑張りたいと思っていることを明確にして、具体的な目標を立て、うまくいかないことがあってもいいから、粘り強く、継続して取り組んでいく、そんな1年間となることを期待しています。
教職員には、「目指す生徒像」の実現に向けて、
1「自律性(自分像達成に向けての自主的な取組への支援とメタ認知への誘い)」
2「有能性(やればできる、自己能力の目覚めという新たな気付きへの導きと支援)」
3「関連性(努力の過程、成果の承認と第三者との関係性構築)」
の3つの言葉をキーワードとして「主体性」を醸成できるように声をかけています。
そのためには、教師の思いを明確にし、その思いを継続して発信し、時に触れながら自らの取組、生徒の姿を振り返り評価すること、そして適宜に助言と支援、見守りを行うことで、生徒一人一人が自己の「自分像」を実現できるよう取り組んでいくことを確認しました。
那須烏山市立南那須中学校長 藤田 繁
創作四字熟語2
◆創作四字熟語2(住友生命保険)◆
今年の世相を表現する「創作四字熟語」の第2弾です。今回は、入選作品をいくつか紹介します。
○世望接種(よぼうせっしゅ)【予防接種】
世界中の人たちが望んだワクチンが実用化され、接種がようやく可能になりました。紆余曲折はありましたが、日本でも12歳以上の希望者は2回、接種することができました。
○延急事態(えんきゅうじたい)【緊急事態】
今年も感染症予防対策による緊急事態宣言が繰り返し出されました。度重なる延長に、またかとあきらめの境地に陥った方も多かったのでは?
○救急搬捜(きゅうきゅうはんそう)【救急搬送】
コロナで病床が逼迫し、救急車が患者の搬送先を捜すのに困難を極めるという、今まででは想像もできなかった事態が現実に起こりました。
○普宙旅行(ふちゅうりょこう)【宇宙旅行】
前澤友作さんが宇宙から無事帰還されました。金持ちだけでなく普通の人も宇宙へいく時代は来るのでしょうか。数年後には600万くらいで行けるという話もあるのですが。
○価格携争(かかくけいそう)【価格競争】
管前総理による肝いり事業。携帯電話各社が競って新プランを出し、値下げを実施しました。若者や単身者には嬉しい値下げプランでしたが、ファミー割などを活用している方には恩恵があまりなかったようですが…。
○結源恥婚(ゆいげんじつこん)【有言実行】
新垣結衣さんと星野源さんの結婚に、世の中は「逃げ恥婚」だと騒ぎました。
○雅翔連婚(がっしょうれんこん)【合従連衡】
嵐の相葉雅紀さんと櫻井翔さんが揃って結婚を発表しました。
○三冠四願(さんかんしがん)【三寒四温】
棋士の藤井聡太さんの勢いが止まりません。タイトル三冠達成です。次のタイトル戦も勝利し四冠達成を願うファンを多いのでは。
○全認二刀(ぜんにんにとう)【前人未踏】
大リーガー(エンジェルス)大谷翔平選手は投手と打者の二刀流で大活躍。日本人としてはイチロー選手に次ぐ、MVPを獲得しました。誰もが認める二刀流の活躍でした。
○英樹颯爽(えいきさっそう)【英姿颯爽】
ゴルフの松山英樹選手がマスターズ・トーナメントで初優勝しました。
○銀籠感謝(ぎんろうかんしゃ)【勤労感謝】
オリンピックでバスケットボール女子が、史上初の銀メダルを獲得しました。
○国枝無双(こくしむそう)【国士無双】
パラリンピックで車いすテニスの国枝慎吾選手が、実力を発揮し、金メダリストになりました。無双の強さです。
創作四字熟語
◆創作四字熟語(住友生命保険)◆
住友生命保険が、今年の世相を表現する「創作四字熟語」を発表しました。本日はその優秀作品を紹介します。「創作四字熟語」は、今年の世相を4文字で表現する住友生命保険の恒例行事となっています。皆さんも「創作四字熟語」に触れながら、今年1年の世相を振り返ってみてはいかがでしょうか。
○七菌八起(ななころなやおき)【七転八起】
新型コロナウィルス感染症が収まったかと思うと再び拡大するという状況でした。「リバウンドがあってもコロナに負けずに起き上がろう」という思いが込められていますね。
○大学新試(だいがくニューし)【大学入試】
高校では「情報」という新たな科目が来年度からスタートし、いずれ入試科目に加えられる予定だとか。今後も大学入学共通テストは変わっていくようですが、とりあえず新しい大学入学共通テストが始まりました。
○海遷山遷(うみせんやません)【海千山千】
オリンピック、パラリンピックの開催により、今年も海の日、山の日などの祝日が移されました。カレンダー制作時にその変更が間に合わず、祝日を勘違いしていた人が多数いたとかいないとか。
○二者卓逸(にしゃたくいつ)【二者択一】
難敵である中国選手を撃破しての卓球混合ダブルス優勝。水谷選手と伊藤選手は頭抜けた「二者卓逸」でした。
○引退鵬道(いんたいほうどう)【引退報道】
長きにわたり横綱の地位を守り、数々の記録を残すとともに、一人横綱として角界を牽引してきた白鵬関が引退しました。
○気象価値(きしょうかち)【希少価値】
気象学者で初めてノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎先生。真壁先生の研究に「気象価値」ありです。
○郵休二日(ゆうきゅうふつか)【週休二日】
土曜日の普通郵便配達がなくなり週休2日になりました。
○双子総愛(そうしそうあい)【相思相愛】
6月に上野動物園で双子のジャイアントパンダ、雄のシャオシャオ(暁暁)と雌のレイレイ(蕾蕾)が誕生しました。現在体重が10キロを超え、動きに切れが出てきたそうです。二人でじゃれ合う姿、母親とのやりとり、みんなから愛されていますね。
○中傷必罰(ちゅうしょうひつばつ)【信賞必罰】
ネット上の悪質な誹謗中傷により、尊い命を自ら絶ってしまったという悲しいニュースも流れました。その対処のために、法令の改正や厳罰化が検討されました。
○幼老介護(ようろうかいご)【老老介護】
かつて、「老老介護」という言葉が生まれ、現在にも続く社会問題ですが、新たに「ヤングケアラー」と呼ばれる、介護などを日常的に行っている、子どもの問題が表面化しました。
守破離(しゅはり)
◆守破離(しゅはり)
●本日は、武道や芸能など世界で良く使われる「守破離」という言葉を紹介します。●「守破離」の【守】は、武道等における最初の段階の心構えです。指導者(師)からの話や助言対しては真摯な態度で耳を傾け、そして指導者の行動を見習ってそれを真似し、指導者の価値観を自分のものにしていくことです。すべてを習得できたと感じるまでは、指導者の指導の通りの行動することを意味しています。●「守破離」の【破】は、師と仰ぐ指導のすべてを習得できたと感じた後の次の段階で、指導者から学んだことから一歩踏み出して、自ら積極的にその助言や指導を破る行為のことです。師の教えという殻を破り、自分独自に工夫して、指導者の話になかった方法などを試してみる行為を意味しています。●「守破離」の【離】は、武道等における最終の段階の行為です。師(指導者)からの教えを基本としつつも、そのもとから自ら離れる決意とたゆまぬ努力により、自分自身で学んだ内容をさらに発展させることです。●つまり、先ずは憧れ(尊敬)の人の一挙手一投足を真似して、次に自分の独創性をそこに織り混ぜてみる、そして最後に自分独自の新しいものをつくっていくということになります●これは、別に武道や芸能の世界だけの話ではなく、どんな世界でも通用し、応用できる考え方だと感じています。
●私はかつて、明治大学の野球部で活躍したある知人から、次のような話をされたことがあります。●「俺は、バッターボックスに入るときには、篠塚(巨人軍で活躍した篠塚利夫選手)の真似をするんだ、ベンチからネクストバッターサークル、そしてバッターボックスまで、篠塚の動きをすべて真似をする。歩数も同じ、第一歩は左足からだ。素振りの回数も、その仕草も同じだ。」●彼が明治野球部の中心選手として活躍できた原動力が、実はここにあったのだと、「守破離」という言葉を思い描きながら感じたことを記憶しています。●またその当時、若者を中心に一世風靡したミュージシャン布袋寅泰(元BOΦWY)さんは、「好きな人の音楽をいろいろ取り入れて、自分の音楽を作っているわけだから、オレの音楽が一番好きなのはあたりまえだ」と語っていました。●まさに「守破離」を体現しきった人の言葉です。●声優としてルパン三世の声をやっていた栗田貫一さんも、最初はただの物真似でしたが、最後には本物となったと感じているのは、私だけではないと思います。●物真似も突き抜けると本物になりますから。
●私たちが何かを体得したい、あるいは夢や希望を叶えたいと考えたとき、この「守破離」という考え方も一つのヒントとなるのではないでしょうか。●女優になりたいと思ったら、とにかく憧れの女優の真似をする。それも徹底的にする。「守破離」の【守】です。●そして1年くらい真似をし続けると、だんだんとその意味、内容が理解できてくる。他の気になる女優の仕草にも目を向けてみる。そこで新たな情報を取り入れながら自分の独創性を織り交ぜてみる。「守破離」の【破】です。●そして最後に自分の独自性を前面に出していく。「守破離」の【離】です。
●「武道の稽古は礼に始まり礼に終わる」と礼の精神が強調されているように、「武道」には、その技や動作の奥に礼や和の精神があります。この「武道の精神」を踏まえつつ、「守破離」という考え方を日常生活にも生かす、応用してみてはいかがでしょうか。
「礼儀(作法)」、そして「マナー」と「しきたり」
◆「礼儀(作法)」、そして「マナー」と「しきたり」
●時代とともに社会情勢は変化し、新たな「もの」が生み出され、求めるもの、大切だと感じるもの、つまり私たちの価値観は変わってきています。それも多様化してきています。●しかしながら、人と人との関係性や付き合いは、多少の変化はあっても、その根幹は今も昔も大きく変わってはいません。●過日、日本における「礼儀」について、「自分のできる範囲で、同じ空間にいる人同士が互いに心地よく過ごそう」という「心」であると紹介いたしました。●最近、「礼儀」と「マナー」と「しきたり」の違いについて書かれた本を読む機会がありましたので、本日は、その違いに簡単に触れながら、新渡戸稲造さんの言葉を紹介しながら、礼儀における「心」に「マナー」という心遣いがどう関わっているのか、私が感じたことを紹介します。
●「礼儀」とは、立ち振る舞いを含めた行動様式のことで、訓練によって身に付けるものだそうです。このことから「礼儀」には「作法」という言葉が当てはまります。●「しきたり」とは、季節感や節目を大事にする心(「お正月」や「桃の節句」、「還暦の祝い」などの祝いをする行為)のことで、そういった年中行事は日々の暮らしを豊か(心)にするそうです。したがって「しきたり」には「彩り」という言葉が似合うのです。●「マナー」とは、互いが気持ちの良い空間を作るための行為で、相手を慮(おもんぱか)る気持ちと書かれていました。「マナー」には「利他の精神」という言葉がぴったりです。●もともと、「礼儀」と「マナー」と「しきたり」には、このような違いがあったようですが、日本のおける「礼儀(作法)」が、現在に通じる「心」、つまり「マナー」の意味合いを含めた「形」として変遷していった経緯については、過日、紹介したとおりです。●新渡戸稲造さんは、その著書『武士道』で、自分を大切にするように家族や友達、社会の仲間を大切に思う、思いやりの心として「礼儀の最高の姿は愛(マナー)である」という意味の言葉を述べています。●そして、そのことを「マナーは愛」という言葉で端的に表現し、「真の礼儀とは、相手に対する思いやりの心、それが他に現れたもの」であるという趣旨のことを述べています。●過日、紹介した、小笠原流礼法・宗家の小笠原敬承斎さんのエピソード(葬式)にも通じます。
●改めて「礼儀(作法)」を考えたとき、先ず基本となることは、相手が嫌だと思うことを相手の気持ちになって考え、その「心(マナー)」を「形」にすること。●改まった儀式では、式の荘厳さ、厳粛さを現す「型」としての「心(マナー)」があること。●初対面の人の場合は、相手がどういう考えを持っているのかが分からないので、先人たちが今に伝えてきた「(礼儀)作法」に則ることで、相手が不愉快な思いをしないための「形」としての「心(マナー)」があること。●その「作法」を知ることは、TPO(時、場所、目的など)に応じた、自分の所作や言葉、服装などの規準を持つことになり、相手を気遣う余裕が生まれること。
●「礼儀作法」という、先人たちが培ってきた生活の知恵、規準を身に付けることは、時代が変わっても人間同士がよくあるために大切なことだと改めて感じます。●なぜなら、「礼儀(作法)」とは、「自分のできる範囲で、同じ空間にいる人同士が互いに心地よく過ごそう」という「心」なのですから。