日誌

藤(ふじ)の花

校舎の南側、清風園に優しい香りを漂わせながら咲いています。

藤について調べてみると、古(いにしえ)の万葉の時代から人々に愛され、繰り返し巡りゆく日本の美しい季節の情景を描く花とされていたようです。

 恋しけば形見にせむとわがやどに

 植えし藤浪今さきにけり (山部赤人)

 藤浪の咲くゆく見ればほととぎす

 鳴くべき時に近づきにけり (田辺福麻呂)

藤の花穂が風にゆれる様は、まるで浪立つように見えることから藤浪(ふじなみ)という歌語が生まれたそうです。

紫匂う花が優美に咲くただずまいを、なかなか会えない恋人に重ねて詠んだのが、一首目です。

また、そろそろ田植えの季節だ、と促すように鳴くホトトギスと同じ頃に、浪のように藤が咲いている様子を詠んだのが二首目です。

そんなことを思い出しながら藤を観賞するのも一興かもしれません。